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ART WORKS ~hospital
埼玉県戸田市にある戸田中央総合病院は、昭和37年に設立された私立の総合病院です.現在では news のコーナーでもご紹介した日本医療機能評価機構からの認定を得ている総合病院として、地域に根ざした医療活動を行なっています.
http://www.chuobyoin.or.jp/index.html
アラカワアートオフィスでは2006年オープンした新棟にアートワークのご提案をさせていただきました.


2006~


白とグレーを基調にした建物に、ブルーグリーンのサインや家具が置かれ、全体にすっきりした空間.すっきりしているが故に冷たい感じならないよう、アート計画を立てました.

この新しい病棟は、廊下等の共有スペースがゆったりとられていて採光が確保されており、全体がとても明るくかろやかな空間になっています.

そこで基本アート作品は、ある程度強くインパクトのある色のはっきりした抽象画をイメージしました.空間の大きさに負けないボリュームのある作品でまず空間を引き締め、そのあと、要所要所にポイントとなる小さなサイズの作品をかけることにしました.
これは一階のメインエントランスから入ったところ.右へ行くと総合受付、左へ行くと診察室や病棟へのエレベーターがあります.ここは入口真正面であり、人が行き交う通過点でもあるのです.壁の木の色はやわらかく明るい色ですが、作品をかけるとなると意外に難しい.
病院の正面ということを考えると、立派な額に入った油絵でもかかりそうですが、それではせっかくさわやかな雰囲気が重苦しくなってしまいそうです.院長先生からも「この場所は病院の正面だから」ということで注目いただいていたので、あれこれ作品を探しました.

最終的に、色調が偶然にもピッタリだった山田正亮のドローイングをかけました.
ミクストメディアの抽象的なこの作品ならば、油絵ほど重くならず、
なおかつ存在感があります.


   

ここは1階でも X 線や MRI などがあるエリアで、普段はあまり人が通らない場所.
そういう箇所こそ、作品を飾っておくことをお薦めしました.
大沢昌助のシンプルな版画作品.


上左の写真が工事が終わった頃の1階エレベーターホール.外から光がたっぷり入ってきます.
右の写真は、作品展示後.オプティカルアートのバザレリの版画を展示しました.




各階のエレベーターホールにバザレリのシルクスクリーン


上の写真は、診療時間内の待合エリア風景.


ここは、救急車が到着する救急入口横にある、家族待合室です.
不安な気持ちをかかえて待つ時間、少しでも気分がやわらぐように、
孫崎かんなさんの暖かみのある優しい油絵を選びました。

 


戸田中央総合病院では、1994年頃から病院内の廊下やロビーに版画などを飾って積極的に院内の環境作りをしています.
平成10年に日本医療機能評価機構から、診療の質だけでなく、病院の管理体制、安全面、財務のほか、療養環境にも心を尽くした病院として初めて認定を受け、平成16年には更新審査を受けて再び認定されました.
この外部組織からの客観的な評価が、タイトルとしてとどまるのではなく、病院ではその後も「あそこにある絵をもっと明るいものに替えてほしい」などの来院者の声を拾い上げ、院内が常によい状態であるよう配慮を続けていらっしゃいます.
こうしたアートワークには、病院サイドの考え方やアートへのご理解、作業へのご協力が欠かせません.
以前、ジャーナルのコーナーにも書きましたが、この新棟のアートワークの打ち合せでは中村毅院長の質問をビシビシ浴びつつも、院長先生がこちらの真意をご理解くださって作品選定は全面的に信頼してくださいました.その結果、統一感のある効果的なアートワークが実現しました.


アートは医療の現場に、そして人間に対してどんな影響をもたらすのでしょうか.
もし自分が行くなら、見上げた通気口からホコリが出たり入ったりしていたらいやだし、蛍光灯の青白い光に照らし出された汚れた殺風景な壁の前でひとり検査を待つのも嫌でしょう.できれば、清潔で明るくて、自然光が入って静かでリラックスできる病院がいい…きっと誰もがそう思うでしょう.
さて、この希望をよく見てみると、要するに求められているのは「心が通った場」であることではないでしょうか.それは患者さんにとっても家族にとっても、重労働の医師や看護士や病院を支え働く全てのひとたちにとっても同じことではないでしょうか.

深刻な時には壁の絵どころではないでしょうし、確かに「アート」で病気は治りません.しかし、一枚の絵をそこに置くことにいろいろな人の考えや想いや願い、つまり精神が込められてそこにあるのであれば、「アートはクスリ」になるかもしれません.アートは人が思いをカタチにしたものです.
そんなアート作品が、具合が悪かったり不安の中で毎日を生きなければならない人たちが治る方向へ、より良い方向へと一歩でも進むきっかけや小さな支えになればと願っています.

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